実践理論について

実践理論(実戦理論)

交代戦が主軸で、双方のプレイヤーが交代戦を続ける前提だった従来の役割理論を超え、撃ち合いなど実践的要素を多く含んだのが「実践理論」と呼ばれるものです。


役割理論との違い
実践理論は役割理論とは少し違う性質を持っています。
それが役割理論上ではあまりよくないとされていた 撃ち合い が許容されたりと、従来の対戦とは少し違ってくるかもしれません。
基本的に今目の前で対峙しているポケモンを倒す、つまりタイマン性能(撃ち合い性能)、決定力が繰り出し性能の必要性を上回ったことになります。
と言っても、タイマン性能=決定力≧繰り出し性能、程度の考えで、大きく変わることはありません。
即ち、 実践理論が一般論になったとしても、マニューラゴウカザルといった繰り出しにくいポケモンの株が急上昇することはない ということです。


役割理論との接点
実践理論は役割理論の 延長線上 に存在する理論であって、根本的なサイクル理論等は今まで通り役割理論にのっとって行われることになります。
つまり、実践理論は一部の対戦状況において効力を発揮する理論で、役割理論の リカバリー をしている理論と言えます。
即ち、役割理論ではかばいきれない部分を実践理論で補う、という関係になっており、役割理論が崩壊してきた現環境における役割理論の穴を埋めていることになります。


ポケモンの価値観の変化・この理論における「第3要素」
上でちらっと説明しましたが、根本的なことは役割理論と変わらないので、繰り出し性能がないポケモンの株が急上昇することはありません。
しかし、一部のポケモンの価値が少し変動してきています。
第3要素 内容
タイマン性能 目の前にいるポケモンと撃ち合って勝てる性能。
決定力 相手に負担を与えるほどの火力をひねりだすことができる性能。
繰り出し性能 相手に対して役割を持てて、後出しが出来る性能。

上の表をもとにして、現環境で最上位に君臨するドラゴン、ボーマンダラティオスを比べてみましょう。

その他株が上がってくると思われるポケモンたち
役割理論上では賛否両論だった一部のポケモンの株が上がってくると思われます。


◇砂隠れ+光の粉のガブリアス
アイスボディ+食べ残し+身代わりのトドゼルガ
◇食べ残し+毒毒+身代わりのライコウ
◇宿り木の種+食べ残し+身代わり+痺れ粉のワタッコ
◇スカーフ+天の恵みエアスラッシュトゲキッス


この中でも特に危険度が高い組み合わせが「砂隠れ+光の粉のガブリアス」「アイスボディ+食べ残し+身代わりのトドゼルガ」です。
ガブリアスの場合は命中率100%の技が72%台まで落ち込み、死に出しから潰そうにしても身代わりがあり、しかも攻撃が当たらないという鬼畜仕様。
トドゼルガの場合はアイスボディ+食べ残し+身代わりによる永久機関と蓄えるによる自己耐久強化、さらには絶対零度、怒りの前歯で豪快のポケモンが散っていくというこれまた鬼畜仕様。
トドゼルガなら天候を変えることが出来て、尚且つそのまま落とすことが出来るバンギラスが一番良い対策になりそうですが、ガブリアスはどうでしょう。
天候を変えたとことで場にいるのは剣舞+身代わりのガブリアスエアームドで流そうものなら、後続からラティオスが何の苦もなく降臨してくる。
この様なもはやクソゲーともいえる運ゲを強いられる場合が多く、運が悪いとそのまま6タテになることもよくあります。
今後の対戦環境ではこういったポケモンが大流行して、尚且つ対策必須なのにも関わらずその対策が不安定になるという、実に不安な対戦になるかもしれません。

役割理論について

役割理論
金銀時代にどこかの誰かが考えた
「パーティの各ポケモンに『役割』という仮想的な『立ち回り』を持たせ、
 それを総合してパーティを構築する」という「パーティ構築概念」の事です。
戦闘中にポケモンが「役割」を果たすことを、「遂行」と呼びます。


注意して欲しいのが、役割理論そのものは「立ち回りではない」という事です。
「こいつは○○受けだから○○に対しては常に出しとけばいいよね」というのは
非常に短絡的で、相手の「読み」に対応できなくなっていきます。


そして役割理論は基本的に「相手の読み」をカバーしきれていません。
「読み」自体が相手にほぼ全要素を依存するファジーな要素で、
「理論」として組み込めるものではないからです。



「役割」は“大まかに分けて”以下のとおり。
 「受け」
 「潰し」
 「流し」
の三つを基本とし、


派生として主に
 「封じ」
 「誤魔化し」
 「役割破壊」
 「間接的役割破壊」(あるいは、「間接破壊」
があります。


以下、一つづつ詳しく解説。


「○○受け」
HP回復技を持つポケモン
○○からの最もダメージの大きい攻撃に対して
 回復技が眠るの場合:確定4発以上(4発目以降で落ちる・一撃のダメージが最大HPの33%以下)
 回復技が自己再生(+その他)の場合:確定3発以上(3発目以降で落ちる・一撃のダメージが最大HPの49%以下)
の場合を○○受けと言います。


倒せないことは問題ではありません。「主力技のPP削り」に意味があります。
ただし主力技のPP削りが終わってないうちに急所に当たって落ちたりするのもよくあることです。


眠るの場合はいわゆる「素眠り」でも倒されない耐久が必要になります。
ただし、特性早起きの眠るなら自己再生と同じ確定3発でOK。


「受けを主体とした役割理論は破綻した」と言われるのは、
こだわりハチマキの登場から「確定3発」でさえもかなり難しくなってきてからです。というかルビサファ入ってすぐですね。


ルビサファのいろんな仕様変更は、役割理論以前に猫も杓子もねむるゲーになってしまい
ある程度以上のレベルの対戦は急所に当たるのを期待するしかない超長期戦になったのを嘆いての結果、と思われます。


時は流れ、ダイパの時代になり、いのちのたま、たつじんのおび、こだわりメガネの登場、
ダイパ新出の技の威力が異常に高いという理由から、潰しの火力が跳ね上がったため、
ルビサファの時代でさえ難しかった「確定3発」がもはやタイプ耐性や積み技に
頼らなければ出来ない状況になりました。


今の受けのほとんどは、タイプ耐性に頼ったり、積み技をするのが普通です。


「○○潰し」
現在のダブルバトル用語である「潰し」とは多少用法が異なり、
「同時出しから、○○が自分を倒すより先に○○を倒す事ができるポケモン」を示します。


潰せる範囲が広いポケモンは初手で出しやすく、更に素早さが高い場合最後っ屁が可能なためとても強力です。
ただ、タイマン前提(ゴウカマニュなど)の潰しが多いため、厳密には後出しの可否を示す「役割」には
「○○潰し」は当てはまりません。後出しできる潰しは下記の「○○流し」と定義できるので、
寧ろ「○○潰し」という役割は無いとも言えますね。


「○○流し」
「○○に対して交換で出しても、HPにかなりの余裕を残して○○を倒せる」という役割です。
この場合、相手が初心者で無い限り交代するので決定力を遅らせることが可能です。
しかし、交代際にダメージを受けてしまう可能性が高いので結局はどちらかが決定力を発揮しますが。


「○○受け」も相手が交代してくる可能性が否定できないので、「○○受け」も「○○流し」
であるという考えもありですね。


「後出しで出ながら相手を引っ込めさせる」という、
「流れ作業」のイメージからこの名前が付いたかどうかは定かではありません。


なお、もっとも間接破壊されやすい役割。
役割の性質上、「多少のダメージ差は跳ね返せる」と思って
能天気に相性普通の相手に出してしまう事が多いからとかだそうです。


ちなみにWikiでも霰パにおけるヤドランの注目度が異常なのは、
霰パの弱点の一つである格闘を受けられ、さらに受けられないまでも
炎・鋼を多少流せるからだったりします。
そしていつの間にかダメージ蓄積しちゃうところとかも「流し」らしいですね。
ボーマンダも同じです。


「○○封じ」
1.○○に対して潰し+受けが成立する場合。
2.○○に対して交換の不可能な「潰し」が成立する場合。


1.が本来の用法。こちらの意味では交換されてもかまいません。ダイヤモンドパール時点でほぼ絶滅。


2.は「くろいまなざし」の他、「かげふみ」「ありじごく」「じりょく」によっても成立します。
また、「おいうち」によって交換を躊躇させるのも封じの一種です。
ギリギリ現役で、ジバコイルエンペルトなどで微妙な関係性が発揮されています。


誤魔化し
リフレクター・光の壁、あまえるなどによる局所的な耐久力アップ、
もしくはマヒ・こんらん・メロメロのいずれかの状態異常で相手の動きを止めることで
一時的に「受け」を成立させる場合です。


誤魔化しポケはHP回復技は持たない場合がほとんどで、
近年の「受け」は役割理論で言えばこちらの意味と、「流し」の意味が強くなってきています。


状態異常での誤魔化しは、運に左右されるとはいえ一手得をすることになるので
通常の受けよりも高い効果を発揮する場合があります。
光の壁等では、一時的に耐久が倍加するため「流し」効果を得られる場合もあります。


一方で「ここでマヒが発動しないと負ける」「急所に当たると負ける」という状況下でも
天に任せることしか出来なかったりすることがあるのが誤魔化しです。


役割破壊
たとえば、種族値的に見て威力の不足気味な攻撃技を持たせる事で、
そこに対応していない「受け」ポケモンの役割を無効化する場合等を「役割破壊」と言います。
「役割破壊」以外の効果が期待できる技は「サブウェポン」と呼ばれるので注意しましょう。


役割破壊には以下のような種類があります。


1.「物理受け」に特殊技、「特殊受け」に物理技を使う
例えば、ボーマンダでは物理形の場合エアームド、特殊型の場合ハピナスを突破できませんが、前者ではだいもんじ、後者ではげきりんかわらわりドラゴンダイブを添えることでこれらを突破できるようになり受けを成立させることができなくなります。


2.苦手タイプに対して弱点をつく技をもたせる
例えば、通常電気タイプのポケモンは地面タイプのポケモンに対抗する手段を持ちませんが、氷や草技などを持たせることでこれらの優劣を逆転できるようになります。
サンダースにめざめるパワー氷を持たせることが多いのはこのためで、ガブリアスグライオンなどを突破できるようになります。
また、前のエアームドの例では1と2を同時に行っています。


3.もちものを利用する
いのちのたまやこだわりハチマキなどの火力アップアイテムを持たせることで、受けを成り立たせないようすることができます。
また、カムラのみなどですばやさを補ったり、状態異常に対する「ラムのみ」などもこれに当たります。


4.積み技を持たない「受け」に積み技を用いる
つるぎのまいりゅうのまいなどで決定力を上げ、受けを突破します。


5.一撃必殺技
最強の役割破壊技。
とくせい「がんじょう」以外、当たれば問答無用で役割を破壊できます。


またトリッキーなところで、ダークホールに対する「スカーフしんぴのまもり」、そしてそれに対する「きりばらい」とかもここです。


ある意味役割理論の華です。「火吹きカビ」とか「文字カイリキー」とか
DQNラグ」とか「みがきあデンリュウ」とか「瞑想催眠サーナイト」など一般の構成、役割を無視して
特定のポケモン、受けに出てくるであろうポケモンの返り討ちに特化する役割を持つのが主な特徴でしょうか。
これをやられると「防御面の役割理論」が完全に破綻します。


間接役割破壊
本来はお互いに「役割」を持たないもの同士のダメージの蓄積(倒される場合も含め)によって
現在戦闘中でないポケモンに対する「役割」を無効化する事を「間接役割破壊」といいます。


「受け」ポケモンは基本的にダメージを回復する手段を持っているので、
「潰し」「封じ」「誤魔化し」が破壊されるときに用いられます。


これをやられると「攻撃面での役割理論」が破綻します。
防御面の破綻よりも致命的な場合も多々あるので、
泥沼の状態に陥るのは避けたいところです。


役割理論を採用した場合の立ち回り
役割理論をガチガチに採用した場合、「受け」だけが急所と積み技を除き
「X発耐える」と計算されているため、戦闘中の計算ミスさえなければ
相手の「(特に種族の指定のない)敵を倒す」役割を無効化することができます。


そして受けをメインとした立ち回りは、「こだわり○○」「いのちのたま」、
運の要素が強いところでは「きょううん」「スナイパー」などで役割破壊・間接破壊されがちです。


この辺で「役割理論はもう古い」と言われますが、
それは「受け」の役割を持たせるポケモンが減ったというだけの話で
一応「潰し」「流し」「誤魔化し」に関してはまだ現役です。


そして、「潰し」「流し」「誤魔化し」、いわゆる攻めるほうについての役割理論の立ち回りですが、
実はこれ、みんなあまり意識せずにやってます。


役割理論を採用したパーティでの「立ち回り」としては、
対戦中に一度は「こいつは○○受けですよ」「こいつは△△潰しですよ」
というような「役割見せ」を行う必要がありますが、
二度目以降は「○○受けがいるから(○○受けが来るのを読んで)、○○を交換して××にしよう」という事を避けるために
「○○に対して○○受けを出さない」「△△潰しが△△を潰す技を出さず、××のための技を出す」という選択肢を取る場合があります。


具体例としてはこちら:ボーマンダ&メタグロス、相手:マニューラ&ゴウカザルとか。
お互いの「潰し」と「流し」の関係のせいで、交換合戦もしくはサブ技の打ち合いになった事があるはずで、
こういう展開は「役割理論何それ食べ物?」という人でもやってるはずですし、
結構失敗するけど、結構成功するのも知ってるはずです。


役割理論の歴史と疑問点
役割理論というもは初期の金銀対戦文化において重要視されたものであります。
今日のDP対戦とでは取り巻く状況が大きく変わっていたり、「理論」と名づけなくともDPの対戦上自動的にある程度意識できる部分があるので、理論の有用性は落ちてきている次第です。
それこそが「潰し」「流し」「誤魔化し」の攻め方の役割理論であり、「受け」の防御側の役割理論がなくても勝ててしまう事があるという事が
「役割理論を把握しなければ勝てない」という金銀対戦初期のある意味「神話」から大きく外れてしまったが所以であります。


ただしその「潰し」「流し」「ごまかし」というのは実は金銀対戦時代にあまり重視されていない戦いでありました。
それはまさに「受け」きる事が基本であり6匹中「ほえる」「ふきとばし」持ちが必ず一体はいる事、「眠る」「寝言」がかなりの確率で入っていた事、そういった状況下で「受け」が重要視されており、役割理論の根底であったからです。


しかし、上述したように状況の変化により「潰し」「流し」「ごまかし」といった定義が増えポケモン自体の役割が広範囲化した事と
相手の役割を根本から覆す戦法、アイテムによるゴリ押しが増えた為、役割理論を知っていれば勝てるという状況下でも、勝率があがる
わけでもなくなってしまったのです。
逆にある程度固執して構成を捉えてしまうと自由な発想を奪ってしまうかもしれませんね。


役割理論についての誤解


役割理論は“説明をわかりやすくする為に”「受け」等の用語を用いているだけで、
ポケモンが持てる「役割」は、「受け」「潰し」「流し」等の8つだけではありません。


ですから、ここに上げた7つのいずれも出来ないように見えるポケモンにも、「役割」は存在します。
もしかすると、「具体的な技名」をもって「役割」としているかもしれません。